研究概要 |
南極海では,ナンキョクオキアミをはじめとしてサルパ類やカイアシ類などの大型植食性動物プランクトンが生物量で卓越して分布する。これまでの多くの研究によって,南極海の物質循環た果たすこれら大型植食性動物プランクトンの果たす役割についてはくり返し強調されてきた。しかし,他方,南極海には個体数において大型動物プランクトンをはるかに凌ぐ小型動物プランクトン(たとえば,Oithona属,Oncaea属カイアシ類,尾虫類など)が普遍的に分布しているが,これらの南極海における生態学的な役割についてはほとんどわかっていない。本研究の目的は、南極海における小型および微小動物プランクトンの生熊学的な役割を明らかにすることである。 この目的のために、本年度は,以下の研究・作業を実施した。 (1)南極海インド洋区における小型動物プランクトン生物量の経年変化 1972年以降日本南極観測隊の定常観測の一環として行なわれてきているノルパック鉛直採集試料(100μm目合)の整理と生物量の測定を実施した。その結果、小型動物プランクトン現存量の経年的な変動傾向は先に明らかにした目合330μmでえられた動物プランクトン現存量のそれとほぼ似た経年的傾向があることがわかった。 (2)南極海インド洋区における小型動物プランクトン調査 共同研究者(小達)の東京海洋大学練習船「海鷹丸」による南極海インド洋区の調査航海への参加を通して、リュッツオホルム湾沖の4測点において小型動物プランクトン採集を実施した。
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