本研究では、苫小牧国有林内のカラマツ・広葉樹林の混合林を対象として、航空機搭載レーザースキャナーデータとディジタル航空写真を併用することにより、樹高、樹木数、および森林バイオマスを精度良く測定する方法の開発を試みた。主要な成果は以下の通りである。 1.レーザーのファーストパルスから表面高モデル(DSM)、ラストパルスから地盤高モデル(DTM)を作成し、その差として樹冠高モデル(DCM)を導いた。DTMの作成においては、対象エリアを正方形メッシュで分割し、各メッシュにおけるラストパルスの中で最も標高の低い点を選び出した。これらの点を内挿することにより得られたDTMは、従来の方法で得られたDTMより大幅に精度が向上した。 2.オルソ幾何補正したディジタル航空写真を、レーザーから導かれたDSMと高精度で重ね合わせる処理手順を確立した。重ね合わせ処理をしたディジタル航空写真と、レーザーデータから抽出された樹頂ポイントを重ね合わせることにより、樹頂が適切に抽出されているか否かを判定することができた。 3.DCMに局所最大値法を適用することにより樹頂を抽出した。局所最大値フィルターとしては円形フィルターを使用した。フィルターサイズは対象エリアの樹木密度に依存するが、本研究の対象エリアでは半径0.6mのときに、現地毎木調査に最も近い樹木数を抽出した。ただし、レーザーのファーストパルスで抽出できるのは上層木(本研究では高さ11m以上の木)が大半であり、中低層木は殆ど抽出されなかった。 4.DCMに水来解析手法を適用することにより樹冠を抽出した。樹高と樹冠面積の関係を樹種別に累乗モデルで記述した。ただし、決定係数は0.15〜0.25程度で高くはなかった。同じ樹高に対して樹冠面積は、カラマツ、エゾマツ、広葉樹の順に減少する傾向が見られた。 5.レーザーから得られた樹高から対象エリアの立木幹材積を算定し、現地調査データと比較した。レーザーから算定した結果は、毎木調査の全木と比べると過小評価になっていたが、上層木に限って比べると良く一致していた。
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