研究概要 |
平成17年度は、細胞内酸化ラジカル反応による異常塩基生成排出機構について以下の研究を実施した。 1【細胞内酸化ラジカル反応により生成される酸化損傷異常塩基の同定】 Bacillus subtilisおよびGeobacillus M2が生成排出する異常塩基は、これまで報告されている8-oxo-dGTPとは異なり、全く新しい酸化損傷塩基であることを示唆する結果を得ている。そこで、同塩基の大量精製を行い、本学現有設備であるNMR等を用いて構造解析を現在実行中である。また、S. amiense, S. cloacae, S. yanoikuyaeが産生する8-oxo-dGTPについても同様に大量精製を実施中である。 2【異常塩基の精製排出機構の解明】 (1)Bacillus subtilisとGeobacillus M2株の細胞内酸化ラジカル反応に関与する遺伝子の解析 現在、sod (Superoxidodismutase)、ahpC (Alkylhydroxyreductase)、mrgA (DNA binding protein), katA (Catalase)、fur (Ferric uptake regulator)各遺伝子をクローニング中である。これらはスーパーオキシドアニオン(O^<2->)、過酸化水素(H_2O_2)、ヒドロキシラジカル(-OH)等細胞内で生じた活性酸素の除去に関わっており、これらの遺伝子破壊実験により詳細な酸化損傷塩基の生成機構が明らかになる。 (2)Sphingomonas属細菌の異常塩基8-oxo-dGTPの分解に関わる遺伝子の解析 8-oxo-dGTPの分解酵素8-oxo-dGTPaseはmutator遺伝子群の一つであるmutT遺伝子がコードしていることが大腸菌等で既に明らかになっている。そこで、S. amiense, S. cloacae, S. yanoikuyaeの各ゲノムから同遺伝子をクローン化中である。 3【細胞間相互作用実験モデル構築】 異常塩基8-oxo-dGTPがBacillus subtilis内に取り込まれ、自然突然変異率が増大することを既に明らかにしている。そこで、上記細菌群の混合系における細胞間相互作用実験のモデル系を構築を検討中である。
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