1.本研究の第一の目的に関わって、引き続き「人間と自然の共生」理念と日本的自然観、および風土との関わりについて原理的検討を深めた。特に、前年度に引き続き、風土的環境倫理の理論的焦点の一つとして風土における共同性について理論的検討を行った。また、前年度にひきつづき、風土的環境倫理が日本的自然観を背景とした「人間と自然の共生」理念の具体化であることを検討し、一部成果を公表した。関連して、環境正義概念と風土的環境倫理の関係を検討し、一部成果を公表した。さらに、下記3の、一般的な日本的自然観と民衆の自然観との異動の確認とも関連して、近世農民の自然観と共生理念との関係について、検討を行った。 2.本年度は第3年度として、関係文献・資料の補充的収集を行い、解析作業を進めた。本研究の第二、第三の目的とも関わって、日本的自然観関連文献を検討し、日本的自然観のモデル化を試みた。 3.本研究の第二の目的と関わって、上記モデルを利用して、物語・昔話などから析出される民衆生活レベルでの自然観(自然への態度)と現代人の日本的自然観との異同の解読作業を、前年度に引き続き行った。 4.本研究の第二、第三の目的に関わって、現代社会における日本的自然観の現状を把握するための一つの手がかりとして、上記の日本的自然観のモデル化に基づくアンケート結果の整理を継続した。 5.本研究の第三の目的に関わって、風土における自然観や時間のあり方を調査するために、現地調査を行った。また、学会などで自然観・風土・環境倫理学の研究者等と意見交換を行った。
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