研究課題/領域番号 |
17510032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価・環境政策
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
北川 秀樹 龍谷大学, 法学部, 教授 (60360252)
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研究分担者 |
増田 啓子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (20229371)
王 いく 同志社大学, 商学部, 講師 (40411061)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 環境影響評価制度 / 公衆参加 / 公聴会 / 法執行 / 情報公開 / 環境意識 |
研究概要 |
1.研究期間中、研究代表者と研究分担者は3回にわたり訪中、上海市、北京市、寧夏回族自治区、西安市の地方政府、大学、関係機関等を訪問し、調査、資料収集を行なった。環境影響報告書が住民に公開されていない中で、調査には困難が伴ったが、主として複数の大学研究者の協力を得て、座談会の開催、住民に対するアンケート調査などを実施し、中国の環境影響評価と公衆参加制度の概要について把握することができた。 2.2007年2月2日に本研究の集大成として「環境影響評価と公衆参加に関する日中共同研究会」を北京市で開催した。中国側から大学研究者および中央政府の環境影響評価業務担当者が参加し、日中双方の研究者がそれぞれ報告、意見交換を行った。環境影響評価の運用実態、特に公衆参加の実態と課題について具体的な事例(道路、発電所等)に即して報告が行われたほか、中国で現在策定中の関係法規についての紹介があり、日中の制度についての長所、短所、比較などについて議論し、認識を深めた。 3.本研究により得られた知見としては、環境影響評価制度の執行率(公式発表)はほぼ100%に近いが、これは補正後のものであり、全国大部分の省級建設プロジェクトの環境影響評価執行率は70%程度、地市級では40%しかなく、一部の地区の県以下の企業と郷鎮企業はわずか20%程度であること、公衆参加の規定の整備が追いつかず案件によって実施方法がまちまちであること、公衆参加の前提としての情報公開がきわめて不十分であること、経済発達地区の沿海都市部では急速に参加意識が高まっていることなどであった。結論として、外見上制度は整いつつあるものの公衆の環境利益の実質的な保護という点ではまだまだ不十分であることが明らかとなった。今後は環境法・政策の執行過程全般における公衆参加と環境利益の保護にまで研究の領域を広げてまいりたい。
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