研究概要 |
2006年度11月ごろにマディア・プラデシュ州の60か村,360世帯に対する本調査を実施する予定であったが,2006年の雨期に雨が多く洪水等が発生したため2007年1月まで延期となった。2007年1月に現地を訪問し,カウンターパートのインド森林管理研究所の研究者ともに調査票の最終テストを実施し,さらに本調査のために雇用した調査員に調査の訓練を実施した。本調査は同年2月より始まり,5月の時点でまだ進行中である。調査が完了し,データ入力が終わり次第,2007年度中に分析に着手する予定である。 前回に調査を実施した1987年と比べて,インドはさまざまな点で経済発展をとげている。その影響は,森林の保全により期待される次の3つの効果,つまり(1)非木材森林産物の収穫による所得の向上,(2)地下水位の上昇により井戸灌漑への外部効果および農業生産性への貢献,(3)直接的,あるいは間接的な健康増進,にも影響を与えていることがわかった。まず,非木材森林産物のうち,薪の需要は都市部で低下している。したがって,所得向上への効果は期待されるほどではないかも知れない。次に,井戸灌漑の急速な普及は,森林の効果を見えないほどにしている可能性がある。さらに,健康増進についても,医療の普及がもたらした影響をいかにコントロールするかが課題である。 また,本研究の当初の課題からは少しはずれるが,調査地の周辺地域で2006年2月に高病原性鶏インフルエンザが発生した。2007年1月に実施した調査の結果,公式には被害地域に含まれていない本研究の調査地においても,鶏の大量死がそのころ発生したことが判明した。そこで,鶏の大量死が農家家計に及ぼした経済的影響を把握する調査項目を急遽,追加した。その点も,あわせて分析する予定である。
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