研究概要 |
1)X線マイクロビーム(〜5keV、10x10μm)により細胞核照射を受けた肺上皮細胞(NHBE, A549)でのDNA切断:DNA切断修復酵素リン酸化H2AX(γH2AX)に対する免疫蛍光染色フォーカスアッセイを行った。細胞核線量0〜10Gyの領域で、線量依存的にフォーカス量(蛍光量)は増加した。フォーカスは照射された細胞核の部位に一致して生じた。 2)コンフルエントNHBE細胞集団でのバイスタンダー効果による細胞内一酸化窒素(NO)量の変化:ディッシュ上にプレートされた細胞数の1%以下の細胞を選び、それらの細胞核をマイクロビームで5Gy照射し、細胞内NOをDAF-2T蛍光により測定した。非照射細胞群に比べ、照射後10および24時間目に、有意なDAF蛍光強度を示す細胞数の割合は増大した。また、蛍光を発する細胞において、細胞当たり、単位面積当たりの蛍光強度は照射後増大した。照射細胞の周辺に存在する非照射細胞におけるDAF蛍光量が増大し、これは細胞内NO量の増加の結果と考えられ、照射された細胞から非照射細胞へのバイスタンダー効果によるものと考えられる。 3)コンフルエント細胞集団におけるNOS(一酸化窒素合成酵素):同一ディッシユ内のマイクロビーム照射細胞および非照射細胞におけるNOSについて免疫蛍光染色を行った。iNOSについては、非照射細胞ではほとんどの細胞が染色されないが、照射後10および24時間においては、照射細胞および非照射細胞からなる細胞集団のうち有意に蛍光を示す細胞が観察された。
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