研究概要 |
前年度に引き続き、ニトロフェノール類のげっ歯類および鳥類の内分泌系および生殖器への影響を明らかにするために、25日齢の雌、雄性Wistar Imamichiラットを使用し、DEPから発見したニトロフェノール化合物(4-ニトロフェノール(PNP)、4-ニトロ-3-フェニルフェノール(PNMPP)、3-ニトロフェノール(MNP)、2-ニトロフェノール(ONP))を皮下に翌日から5日間連続投与し、子宮肥大試験、子宮筋収縮試験、免疫組織学的検査あるいはハシュバーガー試験、ホルモン測定などの内分泌学的検査を行った。PNPが抗アンドロゲン作用を持つ事、PNMPPは低濃度で抗アンドロゲン作用を示し、高濃度でエストロゲン作用を持つ事が明らかとなった。一方、MNP,ONPの作用はPNP,PNMP,PNMPPに比較して低く、構造による作用の強さが異なることが判明した。また、酵母あるいは培養細胞を使用した実験で、これらのニトロフェノール類が程度の差があるが、エストロゲン作用あるいは抗アンドロゲン作用を持つことを確認した。さらに、鳥類に及ぼす影響では、PNMCの雄性日本ウズラに対する抗アンドロゲン作用(精巣の萎縮)が、中枢性及び直接作用によって起こることが培養細胞試験で解明された。この結果は、農薬のみならずDEPも生態系に影響する可能性を示した。また、ディーゼル排気中のニトロフェノール化合物の正確な定量法について、ディーゼル排気ガスのトラップ法についてさらに検討し、排気ガスをバブリング法でブタノール液層、アルカリ液層を通し、最後に冷却管で冷却する方法が捕集率増加に良いことが判明した。そこで、市街地の測定の前に、ディーゼル車の排気付近で、同様なトラップが出来るか検討した。
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