研究概要 |
本研究ではナノサイズ重金属粒子を"そのままの状態"でかつ高濃度でサンプリングすることの可能な「高温場超音速インパクター」を開発することを目標として、実験と解析から検討を行うものである。今年度は,基礎的な実験により粒子状態のデータ把握を行い,その結果を基に高温場粒子分級技術の検討を行った。 1)基礎実験による排ガス存在状態変化の把握 捕集対象である排ガス中の粒子状物質の状態変化を調査するため,小型電気炉により,重金属を含有する模擬廃棄物を熱処理し,発生したダストとガスを温度,流量が制御可能な煙道内に設置されている円盤状のフィルタに導入し,反応速度の影響を制御できる高温場でのサンプリングを行った。この実験を流量,温度およびフィルタの位置を変化させて行い,ダストとガスの反応速度を考慮した重金属類の挙動を実験的に検討した結果,ガス状重金属類の粒子化には最大で1秒程度の滞留時間が必要であり,この間の状態変化は指数関数的に進行することが判明した。 2)高温場粒子分級性能の検討 粒度分布のある燃焼排ガス中重金属エアロゾルからナノ粒子だけを高速・高精度で分級・抽出できる条件を明らかにするため、ノズル内、捕集プローブ近傍、開孔部内の流れを汎用流体解析ソフトウェアFLUENTによる数値シミュレーションにより解析し、インパクターの最適構造と操作条件を提案した。これを用いて,試作品を製作し,粒子分離実験を行い,基礎的な性能の把握を行った結果,断熱膨張に伴い水分を含むのガス状物質が過飽和状態となり,ほぼ全ての粒子が粒子化・成長することにより,超音速ノズルによる急速な状態変化が確認された。この現象を回避するためには状態変化の少ない亜音速ノズルによる分級装置を試作・検討した。
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