研究課題/領域番号 |
17510067
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
市原 潤子 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60110772)
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研究分担者 |
山口 俊郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40167698)
佐々木 洋 近畿大学, 理工学部, 講師 (70205871)
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キーワード | グリーンケミストリー / ソルベントフリー / アパタイト分散剤 / エポキシ化反応 / 過酸化水素 / リサイクル反応 / スルフィドの酸化反応 / パーオキソ活性種 |
研究概要 |
固体分散剤の粉末上で有機化合物の酸化反応を行う、という独自の環境低負荷型酸化触媒反応システムを昨年度に引き続き展開し、以下の結果が得られた。 1.このソルベントフリー過酸化水素-酸化反応は、固体過酸化水素/固体ポリ酸触媒/アパタイト分散剤の固体相からなる。リンモリブデン酸触媒によるスルフィドの固相系酸化反応をin-situでP solid NMRを用いて追跡し、反応の開始から終了まで、過酸化水素と反応してパーオキソ種になり反応に関わる触媒サイクルで、ポリ酸のクラスター構造が分解せず保持されていることを見いだした。この固相系で作用する活性種は、過酸化水素水を用いる液相系反応の分解型活性種と異なり、ポリ酸クラスター構造を保持した準安定パーオキソ種であることを明らかにした。従って、この固相系反応は、ポリ酸クラスター構造の多様性を触媒活性に生かせる初めての系といえる。 2.さらにこのクラスター保持型活性種において、クラスター構造中パーオキソ構造(触媒活性部位)になりやすい部位は、'W(=0)_2'末端酸素構造の部位と特定した。'W(=0)_2'末端構造部位を有する欠損Keggin型タングステン酸触媒を2,3種合成し、エポキシ化反応においてこの末端酸素構造を有しない触媒に比べて顕著に高い触媒作用があることを見出し、確証した。 3.この固相系反応は、触媒が必須であるが、固体分散剤の粉末状態で行うことによって高い反応性が得られ、触媒/固体分散剤のリユースも可能となった。有用な固体分散剤の特性は、これまで用いられてきた触媒担体の特性(多孔性で表面積の高いもの)とは対照的に、結晶性が高く、表面積の小さい、むしろ物理的化学的作用の低い表面を有するものであった;固体分散剤の役割が、これまでの触媒担体とは大きく異なることを明らかにした。
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