研究課題
米、麦、芋、紫芋の4種類の焼酎蒸留廃液(焼酎粕)から醸造酢を製造し、培養細胞やマウスを用いて生理活性評価を行った。平成17年度に、焼酎蒸留廃液から製造した醸造酢の酢酸エチル抽出物が優れた抗ラジカル活性およびアポトーシス誘導活性を示すことを明らかにしたので、平成18年度は両活性成分の精製・同定を行った。逆相HPLCを用いて酢酸エチル抽出物を分画し、得られた各画分の抗ラジカル活性およびアポトーシス誘導活性を測定することで活性画分を特定した。その後、NMRやLC-MSなどを用いて同定した結果、主な抗ラジカル活性物質はチロゾール、アポトーシス誘導活性物質はトリプトフォールであることが明らかになった。HepG2に対してチロゾールで処理することにより、H_2O_2の酸化ストレスによるTBARSの生成を抑制し、細胞内グルタチオン濃度の減少を抑制することを明らかにした。また、in vivoにおいてもチロゾールを投与したマウスは肝臓のTBARS値や血清中のASTおよびALT値が対照群と比較して有意に減少し、抗酸化機能が有意に向上することを明らかにした。一方、アポトーシス誘導物質であるトリプトフォールは、エタノール発酵の過程で酵母がトリプトファンから生成することを明らかにした。トリプトフォールがどのようなメカニズムでU937細胞にアポトーシスを誘導するかを調べたところ、2種類あるアポトーシス誘導経路のうち、カスパーゼ8からカスパーゼ3へ刺激を伝えてアポトーシスを誘導することがわかった。さらに、カスパーゼ8を刺激するときに、細胞質膜タンパク質であるDR5を含んだDISCを形成することを明らかにした。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 71(2)
ページ: 371-379
日本醸造協会誌 102(3)
ページ: 222-224