環境ホルモン・p-ノニルフェノールとその分解菌Pseudomonasを用いて、活性炭素の改質、分解速度、最大吸着触媒効果を求めることを第一の目的とし、さらに、菌自体の吸着脱着を電気化学的に制御することを検討し、p-ノニルフェノールの分解プロセスを明らかにすることで、吸着触媒効果を担う因子をしらべ、他の有害有機物の除去分解へ発展されることを第二の目的とする。 第一の目的については、環境ホルモン物質の吸着速度およびPseudomonas菌による分解速度の解析、さらに吸着効率と活性炭細孔サイズおよびその物質の構造との関係を明らかにするなど、昨年度までにほぼ達成された。本年度は次の計画にしたがって研究を行った。 A)活性炭素の再生効率、微生物吸着の調査、電位制御による脱着 再生効率を低下させる要因には、菌の吸着よりもp-ノニルフェノールの残留のほうが大きく関わることが予備実験から分かったため、p-ノニルフェノールの吸着・脱着のほうを調査することにした。細孔の幾何的影響を除くため、炭素電極にはグラッシーカーボンを用いてインピーダンスを測定したところ、溶解度の低い水相で10kHz以下の低周波数で振幅10mVの交流電圧に対して拡散現象が認められた(20℃)。これにより、比較的小さいエネルギーで残留物を脱着させることが電気化学的には可能であることが判明した。また、p-ノニルフェノールの分子構造が界面活性作用を有することを利用して、並んだ分子を分子鎖方向にインピーダンスを測定できる系を開発中である。 B)Pseudomonas菌によるp-ノニルフェノール分解プロセス これまで分解液の分析を行ってきたが結果にばらつきが大きかった。その原因が、培養液が懸濁していることにあると予想し、本年度は液の分析の他に不溶成分の分析も合わせて再実験している。
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