研究概要 |
都市ガス改質器を伴う固体高分子膜形燃料電池システムを,電力及び熱需要の変動が大きい戸建て住宅やその他の商用建築物に導入するのに,システムの過渡応答特性について検討した。燃料電池,改質器,インバータ,系統連系切替え器などで構成するシステムについて,需要側にエネルギーが安定供給できるか否かを調査するためには,システムの過渡応答特性を明らかにする必要がある。燃料電池の過渡応答特性について試験を行うと,一般家庭で利用される家電品の負荷特性に対しては,十分に安定した応答特性が得られるが,改質器などを組み合わせたときの過渡応答特性の詳細については調査されていなかった。さらに改質器では改質触媒の他に,一酸化炭素を除去するための変成触媒と酸化触媒も設けており,各触媒を高効率で機能させるためには,それぞれを適正な温度範囲に制御する必要がある。したがって,改質器で出力する改質ガスの過渡応答特性は,燃料電池での過渡応答特性と比べてレスポンスは鈍くなり,これらの特性を実験と数値解析で明らかとした。また,燃料電池排熱,補助熱源,蓄熱槽などで構成する,燃料電池システムの熱供給に関する過渡応答特性についても,その詳細を調査するため,本研究では,住宅用小型燃料電池コジェネレーションの電力出力に関する過渡応答特性を,試験等で得た各機器での過渡応答特性を用いてシミュレーションを行い,システムが安定して動作するための条件を明らかとした。さらに,燃料電池システムの負荷応答特性を,単独で建築物に設置する以外にマイクログリッドでの使用条件についても調査した。この結果,風力発電などの未利用エネルギーと燃料電池システムが混在するマイクログリッドの負荷応答特性について明らかとした。
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