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2008 年度 実績報告書

中間サイズ・ナノワイヤーの非一様伝導の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17510085
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

小林 功佳  お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (80221969)

キーワードナノ材料 / 輸送現象 / 表面・界面物性 / ナノコンタクト / 計算物理
研究概要

平成20年度は、非一様なナノワイヤーとしてコアシェル型ナノワイヤーを対象とし、その電気伝導に関する理論的研究を行った。コアシェル型ナノワイヤーとは、コア部分を構成するナノワイヤーとそれを覆うチューブ状のシェルの部分からなる2層構造をしたナノワイヤーのことであり、最近、様々な物質の組み合わせによるナノワイヤーが作成されるようになりつつある。本研究では、半導体コアシェル型ナノワイヤーについて計算を行った。半導体ヘテロ構造には、さまざまなタイプがあるが、本研究では特にタイプIIIのヘテロ構造を対象とした。これは、2種類の半導体のエネルギーバンドのバンドギャップの位置がずれて重なりを持たないヘテロ構造であり、特定のエネルギー領域で、一つの半導体中では電子的な分散をもち、他方の半導体中ではホール的な部分をもつ状態が存在する。このようなヘテロ構造をもつコアシェル型ナノワイヤーのワイヤーの軸に沿った電気伝導を考えると、正の群速度をもつ部分と負の群速度をもつ部分とが共存するため、キャリアが電子として振舞うか、それとも、ホールとして振舞うかは、ナノワイヤーを構成するコアとシェルの部分の体積比率等に依存すると思われる。特に、体積比率が同程度の場合は、電気伝導がほとんど起こらないことが予想される。このことを確かめるために、自由電子的なモデルを用いて、タイプIIIのコアシェル型ナノワイヤーのエネルギーバンドを計算したところ、エネルギーバンドの中心付近に分散をほとんど持たない状態が存在することがわかった。この結果は、フェルミ・エネルギーがこのバンドの位置にある場合は、予想されたように電気伝導率が著しく低下することを意味する。このようなヘテロ構造をもつコアシェル型ナノワイヤーは現在のところ作成されていないが、今後、作成されれば、本研究で得られたような物性が得られることが期待される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] グラフェンと負の屈折・スーパーレンズ-2次元ディラック・フェルミオンの電子光学-2008

    • 著者名/発表者名
      小林功佳
    • 雑誌名

      日本表面科学会学会誌「表面科学」 29

      ページ: 629-636

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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