研究概要 |
ポリ(スチレン-b-2-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)のようなABC型(非対称型)トリプロック共重合体をB、Cに選択的な溶媒に溶解すると、Aをコア、Bをシェル、Cをコロナとするミセルを形成することが知られている。本研究は、このようなコア-シェル-コロナ型高分子ミセルを鋳型とする新しい中空無機微粒子の合成法を確立することを目的とした。 平成18年度にPSをコア、PVPをシェル、PEOをコロナとする高分子ミセル水溶液を鋳型とし、テトラメトキシシラン(TMOS)を前駆体として中空シリカ微粒子の合成に成功した(J.Am.Chem.Soc.,129,1534(2007))。この成功をふまえ、平成19年度は以下の研究を行った。 【1】中空サイズ及びシリカ層の厚さの制御 中空シリカ微粒子の空洞サイズはPSブロックの長さとともに大きくなり、シリカ層の厚さは前駆体の濃度とともに大きくなることが予想される。PSブロック鎖長の異なる三種類のPS-b-PVP-b-PEOを用い、そのミセルを鋳型として中空シリカ微粒子を合成した。その結果、数ナノメートルのオーダーで中空サイズを制御することに成功した。さらに、前駆体TMOSの濃度を変化させることにより、シリカ層の厚さも数ナノメートルのオーダーで制御することに成功した。 【2】中空チタニア微粒子の合成 PS-b-PVP-b-PEOのミセルを鋳型として中空チタニア微粒子の合成を試みた。合成はチタニウムテトラブトキドを前駆体として、ゾルーゲル法によって行った。その結果、中空微粒子は部分的に生成し、残りはチタニアの凝集体であった。これは前駆体の反応性が高いためであると思われる。今後、条件を変化させて合成を試みる予定である。
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