研究課題
幾何学的フラストレーションによる新しい量子相の物理が現在物性物理学の大きな関心である。Harrisらによって4面体スピン配置をもつ希土類強磁性体Ho_2Ti_2O_7におけるスピンアイス状態が報告され、また、反強磁性体において量子液体のような状態が期待されている。本研究ではクリーンな良質結晶の銅酸化物-Cu_2Cl(OH)_3 (clinoatacamite)が新しい幾何学フラストレーション磁性物質であることを発見した。ClinoatacamiteはCu^<2+>イオンの4面体スピン配置をもち、幾何学的フラストレーションによって本来安定なはずの反強磁性長距離秩序から長距離秩序とスピン揺らぎの共存状態へ転移することを観察した「Phys.Rev.Lett.95,057201(2005)」。更にこの幾何学的フラストレーション構造がM_2X(OH)_3(M=磁性イオン、X=ハロゲンイオン)に広く存在していることをX線構造解析によって得ており、M=Co, Ni, Fe, Mn等の物質で磁気転移とグラス的特性の共存の実験結果(比熱&磁化)も測定している。この新しい幾何学的フラストレーション系を系統的に調べている最中で、更に異なる磁性イオン及び置換等のスピン制御によって秩序とスピン揺らぎの共存がどのように変化するかの研究を通してこのクリーン物質系の新しい量子相の物理を解明できると期待されている。
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