研究概要 |
炭酸イオンのC=O結合の傾斜方向に非対称性のある方解石結晶の(10-14)面について、引っかき針による摩擦のマクロ測定を行った。引っかき針先端の曲率半径、垂直方向にかける荷重、針の走査速度などの条件を変えて非対称摩擦を測定した。磨耗の起こらない程度の荷重を用い、向きを反転して並置した結晶の表面を一気に走査することにより、予期した非対称性が確認できた。しかし、再現性に問題があるので、安定した結果を得るためにさらに条件を検討する必要がある。引っかき針の代わりに結晶面同士を直接接触させて非対称性を調べる方法も試している。 ナノスケールの摩擦については食塩結晶の(100),(110),(111)面について摩擦の異方性の測定を行った。摩擦力顕微鏡で安定した摩擦の測定結果を得るためには原子レベルで平坦な領域が数百ナノメートル程度は必要である。へき開で得られる(100)面以外の結晶面については、原子レベルで平坦化するため、エタノールその他の有機溶媒に添加物を加えたエッチング液を試した。その結果、(110)面、(111)面ともに、原子平坦面を得ることに成功した。3つの結晶面それぞれについてナノスケールでの摩擦の異方性を測定した。(110)面については<110>方向の摩擦が<100>方向に比べて明らかに小さく、予期した通りの結果であった。(111)面についてはすべて同種のイオンが露出している極性面であるが、<110>方向、<112>方向のどちらについても摩擦が小さかった。静電的相互作用のポテンシャルの振幅が摩擦の大小を支配することが確認された。
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