研究課題
基盤研究(C)
固体表面の摩擦現象を原子構造と関連付けて理解するため、よく定義された原子平坦な結晶面を作成し、それを用いてナノスケールの摩擦測定とミリメートルスケールの摩擦測定の両方を行い、結果を比較した。原子平坦な結晶面の作成では、へき開では得られない食塩結晶の斜め切断面や方解石のいくつかの結晶面を種々の溶液処理により原子平坦化させる方法を開発した。また、特定の表面構造が安定化される理由を結晶構造モデルを用いて説明した。食塩結晶の斜め切断面では、摩擦力顕微鏡を用いたナノスケールの摩擦測定で、表面構造のモデルから予測されるとおりの異方性が検出された。また、環境湿度が摩擦係数や異方性に与える様子も明らかにした。ナノスケールの摩擦で明瞭な非対称性を示す方解石のへき開面においてミリメートルスケールの摩擦測定を行ったところ、非対称性は検出されたが、摩擦の強弱が逆の結果となった。理由を明らかにするため大きな荷重をかけて摩耗実験を行い、表面に現われる摩耗痕を電子顕微鏡や原子間力顕微鏡で調べた。その結果、いくつかの結晶面に沿った滑りが生じていることが明らかとなった。摩擦測定面と滑り面との位置関係により摩擦の非対称性、異方性が説明できた。ミリスケールの摩擦では大きな面積に応力が働くため、ナノスケールでは起こりにくい塑性変形や滑りを生じ、スケールにより異なった結果を与えることが分った。実用材料であるガラス状炭素表面の摩擦測定では、熱処理温度に依存する表面黒鉛化の程度が大きく影響し、摺動部材として使用するには2000℃以上での熱処理が必要であることが分った。カーボンナノファイバーで強化したフラン樹脂薄板については、ファイバーが面内に配向するが方位はランダムであること、摩擦の異方性は樹脂の配向によることが分った。ファイバー添加量、熱処理温度と摩擦特性の関係を明らかにした。
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