研究課題
基盤研究(C)
最近、コロイド粒子を規則配列した集積体は小型光導波路などの新規光物性制御材料への応用が期待され、様々な3次元のコロイド結晶の作製が試みられている。2次元粒子膜の作製についても数多くの報告はあるが、それを利用したポーラス薄膜の作製についての報告は少ない。また、1次元粒子配列の報告はほとんどない。コロイド粒子集積体を用いて高度な光物性制御を行うには、面内方向の粒子配列の制御法を開発する必要がある。そこで本研究では、親水・疎水パターンの基板を利用して、ポリスチレン粒子の1次元配列の形成とその形成場所の制御について検討した。また、2次元粒子膜を鋳型として、金属および有機半導体化合物の2次元ポーラス薄膜の作製を試み、以下のことが明らかとなった。PS粒子の分散溶液を二枚のガラス基板に入れて乾燥させると、粒子ワイヤーが得られることがわかった。さらに、規則的な親水・疎水性パターンを持つ基板を用いると、粒子ワイヤーの生成を親水領域に限定することに成功し、粒子配線に基盤技術が確立できた。また、PS粒子の2次元膜に金を50nm蒸着し、トルエン中で超音波照射すると、一次元に配列した金の半球面体の蒸着膜が得られることおよびその生成機構を明らかとした。さらに、金の蒸着量を200nmに増すと、ポーラス構造とハニカム構造の薄膜が容易に得られることもわかった。この技術は、金以外の銀、アルミニウムあるいは有機半導体のペリレンなどの蒸着物質にも適用可能であった。
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