研究課題
垂直磁気記録媒体ではCo系強磁性粒子と酸化物のコンポジット膜が研究されており、高い垂直磁気異方性(〜2x10^7erg/cm^3)と、結晶配向性の優れた直径6-7mm程度の微細で均一な磁性結晶粒子が酸化物等によって磁気的に分離されたグラニュラ構造を実現することが求められている。しかし記録層の磁気的な分離構造が膜厚方向全てにわたり達成されているかは、いまだ不確実な点が多く、単に磁気特性だけではなく、透過型電子顕微鏡やX線光電子分光法などによる微細構造の評価が必須となっている。本研究では、次世代型の媒体として考えられるCo_<80>Pt_<20>(at%)-酸化物系で、酸化物の種類と添加量が磁気特性や微細構造に及ぼす影響を調べた。これまでにCoPt-Ta_2O_5が従来型のCoPtCr-SiO_2より磁気的に分離していることが分かっていたが、さらに添加酸化物をTiO_2とすることで、より磁気的な分離を促進できることが分かった。このことを当研究所のXPSやSPring-8の硬X線光電子分光を用いて測定した結果、CoPt-TiO_2ではTiがほぼ酸化して存在しているのに対し、CoPt-Ta_2O_5は成膜ガス圧力にもよるが、金属Taと酸化物の混在状態、CoPt-SiO_2はSiと酸化物の間にピークが存在していることが分かった。TiO_2は磁性膜中においてより完全な酸化物状態で存在するために、より磁気的な分離が進んでいることになる。これは当初酸化物選択の指標と考えていた、標準生成Gibbsエネルギだけでは説明できず、熱伝導率や下地層との表面エネルギ差などの要因も考慮する必要があることを示しているが、詳細は今後の検討課題である。次年度はこの優れた特性を生かし、さらに磁気的な交換結合を制御性良く導入して、低雑音で熱安定性に優れ、記録しやすい超高密度磁気記録媒体を目指して、記録再生特性の面からも本材料の検討を進める。
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すべて 雑誌論文 (7件)
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