研究課題
今年度は、空間信号処理機能を有する非冷却赤外線アレイセンサの基本的なアイデアを検証するためのTEG(Test Element Group)を設計することを計画していた。本研究では、低価格の非冷却赤外線アレイセンサを実現するために、一般的なシリコンLSIファウンドリーを利用して大部分が製造できる構造を考案する必要があるが、今年度は、マルチチップサービスが利用できるオーストリアのファウンドリーAMS(austriamicrosystems)の0.35μm CMOSのプロセスパラメータと設計基準を入手し、これらを基にデバイス構造設計と予想性能計算を行った。デバイス設計を行う際、5m角の領域にいる人の位置または人数を5mの距離から計測するという簡単な応用モデルを考え、この応用に使用できるデバイスが実現可能かどうかを検討した。この用途から要求されるデバイス仕様は、画素数10×10画素、雑音等価温度差0.5℃以下、熱時定数100msec以下であるが、画素設計の結果、一般的なCMOSプロセスで利用可能なアルミとn型ポリシリコンを接合したサーモパイルを用いことで要求される仕様は十分満足できることが分かった。(光学系のf値は1を想定。)非冷却赤外線センサは熱型光センサであり、赤外線吸収構造はデバイス性能に大きな影響を与える。今年度は、赤外線吸収構造として、金属薄膜による吸収、SiO_2,やSiNなど絶縁膜による吸収、金ブラックによる吸収、3層干渉構造による吸収を検討し、吸収率、熱容量、製造プロセスマージンの3つの観点から3層干渉構造による吸収が最適との結論を得た。本研究では、製造プロセスのうち断熱構造作製のキーとなるマイクロマシニング部分を独自に開発することにしているが、本年度はバルクシリコンを当方的にエッチングする手法としてXeF_2ガスによるドライエッチング技術を立ち上げた。
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Proceedings of 6th IAA International Conference on Low-Cost Planetary Missions (印刷中)
Proceedings of SPIE 6127(印刷中)
日本赤外線学会第43回定例研究会資料
ページ: 1-6
ページ: 7-12
日本赤外線学会誌 14巻2号
ページ: 17-21