音楽CD市場は、作品のリリース直後に売上が急上昇し、20週間前後でほぼ0に収束するという特異な商品ライフサイクルを持つという点に特徴がある。この特異性を捉えるため、既存研究に対してマーケットーセグメンテーションより精緻化し、顧客の前段階行動を詳細に反映する新たなマルコフ・モデルの確立に成功した。マルコフ・モデルはPOSデータから推定される6つのパラメーターを持ち、ほぼ完壁な形で現実データに対する適応性を実現すると同時に、パラメーターの推定値そのものによって、音楽CD市場における顧客行動やブランド力を構造的に把握することを可能にした。本研究は、2005年度データ解析コンペティション社会人の部、最優秀賞(第1位)を受賞。さらに、成果を纏めた以下の論文によって、2006年度日本オペレーションズ・リサーチ学会事例研究賞も受賞した。 1)音楽CD市場におけるブランド力の構造分析(住田潮・斉藤晃一・高橋一樹・小池雄平・菅谷健人) 更に、インターネット上でのブラウジング行動解析を通して顧客特性を推定しコンバージョンへと誘導する戦略の開発、リアル・タイムで機能するリコメンデーション・エンジンの開発、等の研究が進んでいる。また、確率的数値解怯を中心に、Dynamic Programmingや拡散過程を用いた分析手法を開発する関連研究も精力的に進められており、4本の論文として纏められ、専門誌に投稿中である。 2) Structural Analysis of Optimal Investment Strategy with Budget Constrainta for Project Management : Real Option Appproach(with T.Ise) 3) Numerical Evaluation of Dynamic Behavior of Ornstein-Uhlenbeck Processes Modified by Various Boundaries and Its Application to Pricing Barrier Options(with J.Gotoh and H.Jin) 4) Development Computational Algorithms for Evaluating Option Prices Associated with Square-Root Volatility Processes(with H.Takada and H.Jin) 5) Structural Analysis of Two Person Game with Mixed Strategy for Public Utility Supplu(with K.Takahashi)
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