研究概要 |
住民主役のまちづくりの仕組みとしての「人間サイズのまちづくり」の具体的な概念構築と住民意識調査の結果を地理情報システムを活用して可視化して住民にフィードバックし、住民を地域マネジメントのPlan-Do-Seeのサイクルの全局面に参画させる支援システムの構築が本研究の主たる目的である。本年度は、昨年度に実施した兵庫県たつの市をフィールドとして実施した住民意識調査(25,525の全世帯を対象として平成18年1月から2月にかけて実施して有効回答は20,314票)ならびに自治体の行政施策が各分野の施策から構成される一種の施策パッケージであるとみなしてコンジョイント分析が適用できる施策の重要度評価が可能な設問による調査(25,525世帯に調査票を配布して有効回答は15,977票)のデータ入力を行うとともに、(1)コンジョイント分析の一般住民レベルでの政策評価への応用可能性を検証すること、(2)地図上に希望する公共施設の建設希望地点を○印で記入してもらうことによって建設希望地点の分布と住民の居住地点との間の関連性を検証すること、という2点に特に注力して、データの分析を行った。その結果、一般住民を対象に質問紙調査によるコンジョイント分析が政策評価に適用可能であるとともに有効であることが実証されるとともに、質問紙調査において地図を利用して地点を問う質問の有効性も示すことができた。また、地理情報システムを活用して調査・分析結果を小学校区レベルで主題図として表示できるシステムを構築し、その結果はたつの市長の諮問機関である「2020年のたつのを考える会」のメンバーに提示されて将来のまちづくりに活用されているが、分析結果を住民にフィードバックし、住民の意識がどのように変容するか、さらには地域マネジメントのサイクルの各局面への関与度がどのように変化したかを検証する研究が不十分であるという課題が残されている。
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