研究概要 |
本研究は,対策の遅れている耐震設計に関するリスクコミュニケーションを推進するため,現在の構造設計に関する市民・設計者の意識と要望を把握し,対話手法の構築をめざすものである。 具体的には,耐震性能に関する市民と専門家とのリスクコミュニケーションを活発にするためには,構造設計時における問題をまず明らかにすることが重要で,市民に対するアンケート調査と専門家に関する調査から明らかにする。その結果をふまえて,市民と対話する手段構築を目的としている。最終年度である本年度は(1)〜(4)について調査・解析を行い,まとめを行った。 (1)リスクコミュニケーションに関する構造設計者を対象にしたヒアリング (2)リスクコミュニケーションに関する市民アンケート (3)コミュニケーションツールの提供方法の考察 (4)成果発表と報告書の作成 構造設計の事例をヒアリングした結果では,設計で設定した性能を契約書で明記することがほとんどなく,建築主への十分な事前説明が行われていないことが明らかになった。また市民アンケートでは,リスクコミュニケーションが必要だとする声が大多数であったが,現在の設計では情報開示不足がまず指摘されていた。これらをどのように設計段階のコミュニケーションツールとして提供するか,設計者・研究者と議論を重ね,それらは研究論文およびシンポジウム資料などに成果をまとめた。
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