研究概要 |
17年度までの研究成果に基づいて,それらの領域を引き続き研究を進めた。CAMCaT(Coevolutionary Agent-based Model for Consumers and Technologies)の枠組みを洗練させて,さまざまな消費者-市場間,消費者-企業間相互作用の具体的問題に対するマーケットダイナミクスを扱うことができるようになった。 CAMCaTフレームワークに基づくシミュレーションモデルの実装にあたっては,研究計画を行った当初の予定通り,オブジェクト指向モデリングによりシステムの各コンポーネント間の関係を明確化するとともに,JAVAによってコーディングを行うことで,その後のモデルとコードの可視性が高まった。 とくに,技術革新により新市場を開拓した企業のイノベーションのジレンマ状況,新市場における立ち上がり問題,標準化における問題のうち,用途なき規格が発生する問題やデジュールスタンダードが失敗する問題等をCAMCaTフレームワークを用いてシミュレーション実験を行い分析をした。これらは社会・経済システム学会等において発表を行った。さらに,消費者ニーズに基づく技術動向の予測分析のためのエージェントベースモデルの開発を行った。 また,ターゲット市場における優良顧客の特徴を抽出するためのシミュレータの開発を進め,それを用いて,携帯電話市場における新サービスの投入戦略のための優良顧客の分析を事例として行った。来年度にはその成果を発表する予定である。
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