研究概要 |
関東の直下で1900年以前に発生した大地震の震源特性の詳細(深さ、メカニズム)を、1)日本列島の高密度強震観測網(K-NET, KiK-net, SK-net)で捕らえた近年の中小地震の波動伝播特性と、2)超高速並列計算機「地球シミュレータ」による大規模数値計算との比較から明らかにすることを目的に、近年の関東直下のM5〜6クラスの中小地震の震度分布の空間把握と、直下型地震の強震動シミュレーションによる波動伝播の特長について詳しく考察を行った。 つぎに、首都圏直下でこれまでに発生した1855年安政江戸地震(M7)の震度分布と1894年明治東京地震(M7)の震度分布およびユーイング型円盤地震計による強震記録の復元と解析を行った。これらの地震の関東の震度分布および、日本列島全域の広域震度分布に着目し、震度の空間分布正常と異常震域の有無などから震源の発生深さを明らかにした。千葉県北部の深さ40km前後の地震では、震源の直上から離れた横浜で震度が大きくなる現象が複数の地震で見られたことから、地殻・マントルの減衰特性の水平不均質についてモデル化し、減衰インバージョンの結果との比較考察を行った。 高密度アレイ観測に基づく詳細な震度分布と震源メカニズムとの比較により震源の深さについて考察した。この結果、安政江戸地震は浅い、地殻内地震の可能性が、また明治東京地震は、やや深い、太平洋プレート/フィリピン海プレート境界の地震である可能性が高いことが示された。
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