研究概要 |
本研究課題の最終年度にあたり、これまでの関東直下のプレート境界・プレート内地震の震源モデルの推定に加えて、やや離れた内陸および海溝で発生した大地震による長周期地震動の生成・伝播に関する補足研究を実施した。そして、広域震度分布に加えて、地震波形(長周期地震動の生成)の特徴からも関東直下の大地震の震源特性を明らかにした。 まず、2007年中越沖地震における、関東平野での長周期地震動の生成伝播特性を、高密度強震観測(K-NET,KiK-net,SK-net)データ解析と、強震動シミュレーションの比較から詳しく調査した。首都圏・甲信越地方の深部地下構造モデルと表層地盤モデルを用いたコンピュータシミュレーションを実施し、関東平野での長周期地震動の再現を確認した。また、2004年中越地震との比較から、都心部で生成する周期3〜8秒の表面波の波形性状の再現性を確認した。これより、大地震の震源の位置と規模が特定できれば、平野で生成する長周期地震動は現在のシミュレーション技術により高精度に評価可能であり、そして過去の大地震の震源モデル推定も同様に可能であることを確認した。 また、高精度シミュレーションに基づく首都直下地震の震源モデル推定や、強震動予測のために、次世代スパコン(京速計算機)の利用を想定した大規模波動伝播・強震動シミュレーションコード(3次元分割差分法)の整備を行った。地球シミュレータとIBM Blue/Geneスパコンを用いた大規模計算を実施し、並列大規模計算の有効性を確認した。
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