研究概要 |
本研究の目的は、津波に対する住民の防災意識を高め,住民が主体となって自主的避難行動を起こす動機付けを行うための手法を開発することにある。 本年度は、以下の3点について研究を行い、次のような成果を得た。 1)想定地震規模拡大に伴う津波危険度の再評価(村上、上月) 津波防災意識が高くない瀬戸内海沿岸域についても,中央防災会議断層モデルも加え,「津波到達時間、津波高,津波の流速」の特性を把握した。特に、複雑な灘からなる各閉鎖性水域での周期応答特性や、一たび瀬戸内海に侵入した津波が各水域で海面の水位上昇を起こし、減衰するのに20時間程度かかることを明らかにした。 2)津波被災地における人的被害予測モデルの精度向上(上月) 高知県T市U町を対象として、人的被害最小化因子として津波規模、沿岸構造物の地震動・液状化による被害程度、水門・陸間の開閉状況、住民の避難開始時間の影響の度合を定量的に示すことができた。 3)住民の防災意識を高める手法の開発(上月,村上) 国、県、市町村など各所で実施される津波避難訓練にアドバイザーとして参加するとともに、地域の最適避難計画の立案に関わり、自主防災組織や行政防災担当者のリーダー育成に携わってきた。一方、1946年の昭和南海地震から60年が経過し、この期に体験者の聞き取り調査を行い、その結果を小中学校の防災教育に活用する一方、大学生の防災意識調査に基づき防災意識の向上を図り、各種の防災ゲームを考案し、防災意識を高めることに資することができた。
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