研究概要 |
1.ホヤのライフサイクルにおける遺伝子発現プロファイリングの解析 ホヤ全ゲノムの約8割をカバーする大規模オリゴDNAチップを作製し、ホヤの受精卵から幼生までの15段階の発生胚、変態後の幼若体、月齢の異なる3段階の成体(加齢サンプル)あわせて19種類のサンプルからRNAを調製して遺伝子発現プロファイルの解析を行った。各遺伝子につき、受精卵における発現量(mRNA量)を1としたときの発達段階サンプルにおける発現量を相対値として表し、2細胞胚から老成体までの相対値をつなげて変動パターンを求めた。約15,000個の遺伝子について変動パターンの情報を得ることができた。次に、変動パターンの類似性に基づいた(filteringとk-means)クラスタリングを行った。その結果、15,000個の遺伝子は大きく5つのカテゴリー(A:発生特異的遺伝子群、B:発生中期-成体期遺伝子群、C:成体特異的遺伝子群、D:非発現変動遺伝子群、E:母性遺伝子群)に分類できること、さらに細かくグループ分けをすることによって合計45個のクラスターに分類できることが明らかになった。遺伝子発現パターンを指標にしたこの分類方法を「安住式ホヤ遺伝子分類法」と名付けた。 2.ダイオキシン(TCDD)暴露ホヤ体内で生じる遺伝子発現変動の解析 100nM TCDD存在下の海水で3日間飼育したホヤ2個体の被嚢を除去後、各個体の全組織からそれぞれRNAを調製した。TCDD非存在下の海水で同時に飼育したホヤ3個体の全組織から同様にRNAを調製した。コントロールのホヤ3個体のRNAを等量ずつ混合したRNAおよびTCDD暴露1個体のRNAを用いて合計2枚のDNAマイクロアレイ解析を行った。2個体共通して発現が亢進あるいは低下する遺伝子がそれぞれ約1,000個見いだされた。それらの遺伝子について現在詳細な解析を行っている。
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