SUMO (Small Ubiquitin-related Modifier)は真核生物に広く存在するタンパク質の翻訳後修飾因子で、分子量は15kDaほどのユビキチンに類似した構造を有する。哺乳類では3つのSUMOパラログSUMO1、SUMO-2、SUMO3が知られており、SUMO1に比べて、SUMO2とSUMO3は高い相同性を有し、SUMO1とSUMO2/3パラログ間での機能的差異を生んでいる。SUMOによるタンパク質修飾は、細胞内におけるタンパク質の局在や相互作用の制御に重要な役割を果たすと考えられている。とりわけSUMO修飾を受けるタンパク質には、核内に存在しているものが多く、細胞増殖や分化の過程でダイナミックに変化するクロマチンや染色体構造・機能の制御に関わる例が数多く報告されてきている。当該年度に於いては以下の点について研究を行い、SUMO修飾の生物学的な意義について重要な知見を得る事ができた。SUMO2/3特異的な相互作用部位のアミノ酸配列(SIM配列)の解析。MCAFlとSETDB1とヒストンシャペロンCAF1-p150のSIM配列についての研究に特に焦点を当てた。また、SUMO3をベイトとした酵母2ハイブリットスクリーニングにより、マウス精巣由来のcDNAがコードする相互作用因子を500以上得た。これらの中から、RNF4とNip45についてさらに相互作用を解析した。その結果、SUMO3と相互作用する新規の核・染色体構造制御因子であることが明らかとなった。
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