未利用植物資源調査を行い北方系未利用植物あるいはアイヌ民族により利用された植物から神経栄養因子、アセチルコリンエステラーゼ、チューブリン、アクチンを分子標的とするスクリーニングを行い、新規骨格を有する機能性アルカロイド分子を探索した。特に、ユズリハ、ハイイヌガヤ、リコポジウムに含有される新規骨格をもつ多環性含窒素天然物の機能性を解明するとともに、新骨格を有する機能性アルカロイドを探索した。 北海道で採集した、エゾヒカゲノカズラLycopodium clavatum var. Robustumより、Lycovatine Aと命名した新奇C16Nタイプの4級アルカロイドを発見した。また、ナンカクランLycopodium hamiltoniiよりnankakurine Bを単離し、構造を明らかにするとともに、nankakurine Aの構造訂正を行った。さらに、ナンカクランよりlycoperine Aと命名した、C27N3タイプの新奇アルカロイドを発見した。Lycoperine Aはアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示した。一方、アルビカズラLycopodium complanatumよりlycopladine Aと命名したC16Nタイプのアルカロイドを見出し、構造を明らかにした。これらのヒカゲノカズラ科由来の数種のアルカロイドは、アストロサイトーマ細胞から神経栄養因子分泌促進活性を示した。また、ユズリハ科に属する植物のアルカロイド成分の探索も継続して行い、ヒメユズリハより新規アルカロイドdaphtenidines A-Dを単離し、それらの構造を明らかにした。
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