生体において活性酸素は重要な生命維持のための物質であり、活性酸素を分析することは重要である。活性酸素を高感度に分析するための一つの手段として発光法がある。一般に、発光法において、活性酸素と反応し発光を示す発光物質(発光プローブ)は、三重項酸素とも反応し発光を示す。従って発光プローブから生ずる発光は活性酸素に由来するのか三重項酸素に由来するのか区別することは重要な問題となる。この解決法としては、活性酸素消去剤を加える方法があるが生体分析においては不適切な場合が多い。そこでこれらの発光の発光色が異なれば発光を区別することが可能となる。この機能を有した発光プローブの創製を目指し、本年度ではその基礎研究を行なった。 本検討において、三重項酸素との反応では赤色発光を、活性酸素との反応では青色発光を示す発光化合物を見いだすことに成功した。この原理は以下であると考えている。この化合物において三重項酸素および活性酸素と反応し発光のための初期エネルギーを形成する発光団は通常青色の光を生成する。この際、光を生成せず他の発光団にエネルギーが移動するとその移動した発光団から光が発生する。この際、三重項酸素との反応の場合、上記のエネルギー移動が達成され、活性酸素との反応の場合、そのエネルギー移動が行なわれず、それぞれの場合において異なった光を生成することとなる。 このような発光プローブにおいて発光色の選別、発光強度、活性酸素に対する感度などの向上が課題であり、18年度においてこの点を検討する予定である。
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