研究概要 |
Hタンパク質のプロテアーゼ抵抗性ドメインの単離と機能解析 Hタンパク質をV8プロテアーゼによって穏和な条件で限定分解することよって得られた,二つのプロテアーゼ耐性ドメイン(F2,F3)をNi-NATアガロースとDEAE-セルロファインによるクロマトグラフィーによって単離精製した。それらとファージの宿主菌である大腸菌C株のリボ多糖に対する相互作用を表面プラズモン共嗚装置によって検証したところ,Hタンパク質のC末端側1/3にあたるF2ドメインが,Hタンパク質と同等の親和性を示したのに対して,N末端側の1/3にあたるF3ドメインは,Hタンバク質の約1/10の親和性を示した。このことから,Hタンパク質は主にC末端ドメインでリボ多糖を認識することが判った。また,二つの断片の円偏光二色性スペクトを合算したスペクトルが,Hタンパク質のスペクトルに極めて良く一致したことから,プロテアーゼによって取り除かれた部分(103-214残基)は,あまり強固な立体構造を持たない部分と推定された。 Hタンパク質のプロテアーゼ抵抗性ドメインの大量発現と機能解析および結晶化の試み F2ドメインにヒスチジンタグを融合したタンパク質断片を大腸菌JM109株で大量に発現することに成功し,ヒスチジンタグを利用したNi-NTAアガロースによるクロマトグラフィーによって単一に精製することができた。この組み替えタンパク質とリポ多糖との相互作用を蛍光スペクトルや円偏光二色性によって確認したところ,先に得られたF2断片による測定結果と良く一致した。
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