研究課題
酵素が化学反応の遷移状態と結合することによって触媒機能を発揮しているように、化学的に安定な遷移状態アナログを抗原として得られる抗体タンパク質は、反応の遷移状態と結合し、酵素のような触媒機能を発揮するようになる.このような触媒機能を有する抗体を「抗体酵素」(Catalytic Antibody)と呼ぶ.抗体酵素は、その高い特異性などの優れた性質から第三の物質生産法として注目を集めている.しかしながら、実際に抗体酵素を化学合成に応用するためには、解決すべき問題点が残されている.その最大の問題は、一部の抗体酵素を除いてその触媒活性は低く、多くの場合エステル結合の加水分解反応に限定されている.本研究の目的は、抗体酵素の応用に向けて、高い活性を有する抗体酵素の作製法を開発し、その適用範囲をひろげることである.免疫システムを利用した新機能抗体酵素の構築(二重免疫法)前年度までに得られた抗体酵素の触媒活性や構造の詳細について検討することにより、抗体酵素がどのような分子機構により触媒活性を発現しているかについて明らかにした.(1)抗体酵素のアミノ酸配列の決定:抗体酵素の遺伝子をマウス抗体遺伝子クローニング用プライマーを用いて増幅させ、抗体発現ベクターへ組み込みクローニングを行った.得られたクローンを大腸菌へ導入し、ELISA法により抗体の発現を確認した後、DNAシークエンスをおこない、抗体のアミノ酸配列を決定した.(2)抗体酵素の分子モデリング:上記により決定したアミノ酸配列に基づき、抗体の立体構造を分子モデリングにより推定した.得られた立体構造から、触媒活性が向上した理由を考察した.
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Journal of Molecular Biology 369
ページ: 198-209
Peptide Science
ページ: 391-392
http://www.b.s.osakafu-u.ac.jp/~fujii/