研究概要 |
1.トリカブト毒 青森県の山地にてトリカブト成熟株の所要量採取に成功した。採取した毒草について購入した植物試料粉砕粉末化装置マルチビーズショッカーを用いた凍結粉砕条件を明らかにした。これを用いてグラム単位のジェサコニチンを単離精製することができた。こうして得られたジェサコニチン及び市販されている同族アルカロイドアコニチン、メサコニチン、ハイパコニチンについて、それぞれ二次代謝物(8-ヒドロキシ体)及び最終代謝物(8,14-ヒドロキシ体)を合成した。 以上の化合物を用いて、ポリスチレン系、ポリビニルピロリドン系及びカチオン用ミックスモード固相抽出カートリッジを用いた、血液及び尿からの迅速簡易トリカブト毒抽出法を検討した。 また、上記抽出法と平行して、固定相にODS及びGPCカラムを用いた、液体クロマトグラフ-ESI-質量分析計による高感度一斉微量分析法を検討した。さらにHILIC固相抽出カートリッジを用いた固相抽出及び親水性HILICカラム及びLC-MS用イオン交換カラムを用いた生体試料分析法も検討し、最適な分析法を選定する予定である。 2.バイケイソウ毒 青森県の山地よりコバイケイソウの幼若株及び成熟株の採取に成功し、トリカブト同様植物試料粉砕粉末化装置を用い、幼若株より幼若ステロイドアルカロイドベラジン、エチオリン及び猛毒のルビジャービン、成熟株より猛毒C-nor-D-homo-ステロイドアルカロイドのプロトベラトリンA及びB,ベラトリジン、さらに猛毒かつ催奇形性を有するジャービン等を得た。これらはトリカブト毒同様テルペンアルカロイドであり、トリカブトと同様に、迅速簡易毒性分抽出法、及び液体クロマトグラフ-ESI-質量分析法による、幼若・成熟株それぞれの成分の生体試料からの一斉微量分析法を検討する予定である。
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