1.高い反応性を有するアミノ化試薬の開発 リンカーを介してアミノ基近傍に芳香族基を連結した新規なアミノ化試薬を合成した。リンカーの長さ、芳香族基の違いによって5種類の試薬を合成し、それぞれをオリゴヌクレオチドの末端に導入した。この新規なアミノ化試薬を導入したオリゴヌクレオチドは、蛍光色素、ビオチン等との水溶液中にける標識反応において、従来のアミノ基よりも高い反応性を示すことを見い出した。特に、アミノ基と芳香族基が隣接したアミノ化試薬は、最も高い反応性を示した。 さらに、これら新規なアミノ化試薬が導入されたオリゴヌクレオチドを用い、一方の末端にリボースを導入して過ヨウ素酸酸化させたDNAに対する、DNA2本鎖間の連結反応を行った。その結果、新規なアミノ化試薬が導入されたオリゴヌクレオチドは、従来よりも高い効率でDNA同士の連結反応が進行することを明らかにした。また、DNAチップを作製した後、この連結反応を基板上で行ったところ、溶液中と同様に効率良くDNA同士の連結反応が起こることを確認した。 2.簡易精製法の確立 新規アミノ化試薬が導入されたオリゴヌクレオチドを逆相の簡易精製カラムによって、合成中に生成した不純物と簡便に分離することが可能であるかどうかを検証した。その結果、芳香族基を有するアミノ化オリゴヌクレオチドは、不完全長オリゴヌクレオチドと容易に分離精製可能であることを確認し、さらにその簡易精製プロトコルを作成することができた。 3.DNAチッププローブとしての評価 新規なアミノ化試薬を用いてオリゴ合成を行い、それらを基板上に固定化したDNAチップを作製し、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによってDNAチップとしての性能を評価した。このDNAチップが、従来の試薬を用いた場合と同様かそれ以上のシグナル強度を示すことを明らかにした。
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