研究課題/領域番号 |
17510198
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 洋子 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (80197186)
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研究分担者 |
塩見 和朗 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (40235502)
松本 厚子 社団法人北里研究所, 基礎研究所, 研究員 (20300759)
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キーワード | 未知微生物 / 酸化ストレス / 活性酸素 / 新属新種 / 培養 / 長期保存 |
研究概要 |
地球上に棲息している微生物の90%以上が、未だ分離されていない未知微生物であると言われている。これらの微生物が分離できない一つの理由として、用いられた培地では培養が困難な場合が考えられる。これらの微生物を培養可能にする培養条件を開発し、分離された菌株の系統的解析を行い、微生物生態の解明に役立てること、また、このような微生物は保存も困難であることが予測され、保存法についても検討することを目的としている。 申請者らは、これまでの研究で、細菌の培養に一般的に用いられる寒天培地のなかには、活性酸素を発生する培地があることを見出し、活性酸素除去物質であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やカタラーゼを添加することで土壌試料からのコロニー出現数が飛躍的に増大することを明らかにしてきた。 この方法で分離された菌株について形態や細胞の化学組成および16SrRNA遺伝子配列を用いた系統解析を行い、その分類学的位置を明らかする試みを行った。その結果、これまで知られているどの属にも該当せずPatulibacteer minatonensisおよびOryzihumus leptocrescensと名ずけた二つの新属新種を見出した。前者は、土壌から直接PCRで増幅したクローンに最も近く、存在は知られていたが未だ分離されたことのない菌株が上記方法で分離されてきたことを示した。また、この新属新種は、科のレベルでも新規であり、新科Patulibacteraceaeを提唱し、Int. J. Syst. Evol. Microbiol.に掲載され承認名となった。 上記結果より、活性酸素除去物質の添加が、未知微生物分離に有効であることが分ったので、ラジカルスカベンジャー活性をもつ低分子物質を用いて土壌微生物の分離を試みた。 また、上記方法で分離された菌株について、保護剤、温度等を種々変えて、半年、一年あるいはそれ以上の期間を設定し長期保存性試験のための保存を行った。
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