研究概要 |
1.地球上に棲息している微生物の90%以上が、未だ分離されていない未知微生物であると言われている。これら、未知微生物を分離するために、分離法の検討を行った。 1)土壌団粒内からの微生物の分離 ブレンダーでは破砕されない土壌団粒(直径100μm〜990μm)の表面を酸性水で殺菌後、超音波破砕を行い団粒内から細菌および放線菌を分離した。これら分離菌株を、16SrRNA遺伝子部分塩基配列を用いて、団粒外からの菌株と比較を行ったところ、団粒内外で異なる菌株が得られることが分った。 2)低分子活性酸素除去物質の添加による微生物の分離 分離培地に活性酸素除去物質であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やカタラーゼを添加することで土壌試料からのコロニー出現数が飛躍的に増大することをすでに明らかにしてきたが、今回、低分子の活性酸素除去物質の効果を調べた。その結果、カテキン、ルチン等を培地に添加することで菌数の増加や分離菌株の種類の増加が得られた。 II.上記分離菌株の分類学的研究 3新属新種(Patulibacter minatonensis, Oryzihumus leptocrescensおよびHumihabitans oryzus) Microbacterium属の4新種,Arthrobacter属の2新種、Nonomurea属の3新種を発見し、論文投稿あるいは公表にいたった。 III.保存法の検討 上記分離菌株の長期保存のため、保護剤、温度等を種々変えて、半年および1年後の生菌数を調べた。凍結乾燥法が最も良好で、ついで-80℃保存が良好であった。
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