研究課題/領域番号 |
17510208
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
今岡 日出紀 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (50184809)
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研究分担者 |
満端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
田中 宏 立命館大学, 経済学部, 教授 (10163560)
貴志 俊彦 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (10259567)
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キーワード | ロシア / 市民社会 / 国家・企業間関係 / 地域コミュニティー / 経営者 / 労働者 / グローバル化 / 社会主義 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、文献資料の購入・整理・精読、研究レビューを行い、ロシア(モスクワ)にて資料収集・現地調査を実施することによって、多様な経済主体の行動様式と市民社会の形成過程について、資料を収集し、議論を深めることに主眼を置いた。 まず、文献資料の精読、研究会への参加を通じて、ロシア社会の現状、有する課題についてレビューをおこなったこ11月には比較経済体制研究会例会に参加し、ロシアの地域コミュニティーの再編と地域企業のリストラとの関係について議論をおこなった。社会主義期から続く企業と地域との密接な関係が、未成熟な市民社会と相まって、企業および地域のリストラを遅らせる原因となっていることが指摘された。 2月にはモスクワにて現地調査を実施した。大学、企業、研究所を訪問し、資料収集をおこなうとともに、研究者に対するインタビューも実施した。ロシアで市民社会形成が遅れている現状、企業における経営者と労働者の関係、ロシア社会に対して企業が果たす役割等について聞き取り調査をおこなった。 3月には、島根県立大学にて開催された比較経済体制研究会第25回年次大会にて研究成果を報告した。ロシアを含めた北東アジアの経済統合の進展を、外国直接投資との関係、東アジア地域内の貿易関係などから分析し、多国籍企業による国際的生産ネットワークの形成により、垂直的産業内貿易が進展したことが示された。さらに、こうした北東アジアでの経済統合やグローバル化の進展を背景に、ロシアの国家・企業間関係も変化している。1990年代前半のロシアにおける国家・企業間関係の特徴は、オリガルヒと呼ばれる一種の政商(寡占企業家)らが弱体化した国家からレントを獲得する「国家捕獲」であったのに対し、1990年代後半以降、国家によるビジネスヘの介入、「ビジネスキャプチャー」となっていることが示された。
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