研究期間の3年目にあたる平成19年度においては以下のとおり研究が遂行された。 1基本文献の蒐集: (1)昨年度までに購入した「高年初産」「高齢出産」関連の雑誌記事の充実をさらにはかるべく、当該の記事を国会図書館等で複写した。 (2)「高年初産」「高齢出産」にかんする新刊書を購入した。 2データベース化: 上記の複写が可能であった記事および購入した書籍について、エクセルを使ってデータベースを作成した。 3聞き取り調査: 高年初産を経験した女性、および出産経験はないものの出産の希望を持っている30代後半の女性について、聞き取り調査をおこなった。内容は録音され、これに基づいてトランスクリプトが作成された。 以上で集められた研究素材をもとにした分析は今後も継続しておこなわれる。今年度に遂行された研究によって、さしあたり以下の点が今後の研究課題として確認された。 (1)これまで高年初産の原因は「女性の社会進出の結果」であるとひとくくりにされてきたが、人によってその内情が多様であること、(2)高年初産の「リスク」の一つとして30代後半女性の生活習慣病・婦人科疾患の罹患率の高さが考慮されねばならないこと、(3)親世代と妊娠・出産・育児観が違うことの問題、(4)第二子の妊娠・出産の選択について岩い世代より猶予がないこと、(5)妊娠・出産・子育てを選択するものであるととらえ、それへの肯定感が強いこと、である。この内容は論文にまとめられ勤務校の紀要に掲載許可を得た。
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