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2005 年度 実績報告書

コンピュータを介したコミュニケーション論の再構築-ジェンダー分析の新たな展開-

研究課題

研究課題/領域番号 17510225
研究種目

基盤研究(C)

研究機関日本大学

研究代表者

根村 直美  日本大学, 経済学部, 助教授 (10251696)

キーワードジェンダー / インターネット / 多元的自己 / 既存の倫理への異議申し立て力 / 情報倫理学 / コミュニケーション論
研究概要

平成17年度は、これまでのコンピュータを介したコミュニケーションについての研究を踏まえた上で、ジェンダー分析の新たな知見に注目し、その知見がコンピュータを介したコミュニケーションの展開にとってどのような意味をもつのかを明らかにすることを試みた。その際に特に注目したのは、そのコミュニケーションのもつ倫理的可能性である。
本研究では、最初に、インターネットの登場以来、コンピュータを介したコミュニケーションによりユルゲン・ハーバーマスの言う「理想的発話状況」が実現されるとする議論が展開されてきたことをおさえた。次に、従来のコンピュータを介したコミュニケーションのジェンダー分析が、そのコミュニケーションには現実世界のジェンダー構造がそのままもち込まれており、そのことが現実世界における男女間のヒエラルキーの維持・強化に加担していると指摘してきたことをおさえた。続いて、心理学者シェリー・タークル描き出したインターネット時代の「自己」の多元性とそうした「自己」の広がりについて考察を試みた。本研究者は、その考察を通じて、「自己」の多元性に拠って立つジェンダー・スワッピングの試みのうちに、現実のヒエラルキーから解放されたコミュニケーションの実現とそれによる現実世界の再編の可能性が示されているのではないか、と考えるにいたっている。というのも、本研究者は、情報社会において日常的に経験されるようになった多元的な「自己」は、ラディカル・デモクラシーが提示してきた既存の「倫理」への「異議申し立て力」をもつが観念的であった「自己」像が現実のものとなりつつあることを示しているのではないかと考えるからである。今後は、この倫理的可能性についての知見を理論的により洗練させるとともに、実際のコンピュータを通じたコミュニケーションの更なる分析を通じてその可能性を跡付けていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 情報社会における「自己」の多元性:その倫理的可能性2006

    • 著者名/発表者名
      根村 直美
    • 雑誌名

      日本社会情報学会誌 18巻1号

      ページ: 31-44

  • [雑誌論文] ジェンダー研究の立場から2005

    • 著者名/発表者名
      根村 直美
    • 雑誌名

      日本倫理学会第56回大会報告集 大会共通課題:倫理学の現実(リアリティ)

      ページ: 25-28

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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