研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、女性と身体に関するジェンダー格差の是正をめざす日本の政策を対象に、1)政策の「形成過程」および「推進過程」を、まずエスノグラフィーとして多角的に記録・編集し、2)両過程でジェンダー・バイアスがどのように認知され、バイアス是正の方策がどう組み込まれてきたか否か、さらに、3)アジア圏における日本の女性の身体をめぐる政策の諸特徴、問題点、課題を解明することにある。女性と身体に関わる政策事例として、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以降「DV防止法」と略)を具体的な研究対象とする。同法がいかにして、国の行政府や立法府、都道府県/市町村行政や議会の課題として組み込まれていくのかを関係者からの聞き取り調査を基に記録・編集・分析する。本年は、1)DV防止法制定について、国会議員による「共生調査会」の設置から法制化までの具体的過程について資料収集による年次的推移を理解した。2)また法律改正によって全国の自治体に「基本計画」の策定が義務づけられたことが、どのように自治体に波及していったのか追跡を開始した。3)具体的な自治体事例として徳島県を中心に、政策の形成・推進過程に関する資料蒐集、及び女性支援センター職員・被害者に対する聞き取り調査を行った。4)アジア調査に関しては、2005年8月にCOE研究ブロジェクトの一員としてフィリピン共和国で共同調査を実施した。本年の主な実績は、資料収集と整理および一部資料の編集作業に終始した。なお、今後政策形成と推進のエスのグラフィーを示す過程で、「国と自治体」「自治体Aと自治体B」で政策策定時に、双方がどのように影響しあうか否か、相互的な関係について着目し分析する必要があると考えている。
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Ochanomizu University The 21st Century COE Program Frontiers of Gender Studies. F-GENS Publication Series 8, 8
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