18年度はまず17年度の質問紙調査の分析を継続し、約5800部についてデータ解析を行った。「人間の性」の学習経験は月経等生物的な項目は半数以上、ジェンダー等社会的な項目は5〜15%であった。「人間の性」に関する看護場面での対応は、育児負担を訴える母親の事例では子の接し方の指導が約7割を占め、訴えの傾聴や社会資源説明は少数であった。看護師の身体に接触する男性患者の事例では無視や注意が3割程度で、全体像のアセスメントや患者の相談に乗る、職員間のカンファレンスは少なかった。性に関する認識が高いとはいえないため、具体的な看護場面で適切に判断でき、「人間の性」に関する認識の変化を促す継続教育が必要と考えられた。 この質問紙調査の結果を基に3つの学会で発表を行った。類似テーマや近接領域の研究者との意見交換ができ、新たな研究の視点に関する情報の収集を行うことができた。 また、倫理委員会の倫理審査承認を経て、倫理的配慮の元に研究協力者への半構成的面接調査を実施した。質問は「人間の性」に関する看護場面での看護師としての行動や思考、「人間の性」に関する継続教育の必要性や内容などとした。患者の性が看護援助に影響していることや患者の性に関わる看護援助の必要性について始めて考えると言う看護師がほとんどであった。しかし、インタビューの中で看護師の性に関する意識が具体的な看護援助に影響することに気づき始めていた。今後の学習課題として、まずは看護師の性に対する理解や認識を高めること、また性に関して普通に会話できる環境や意識が重要ではないかと話していた。
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