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2006 年度 実績報告書

ハイデガー哲学とその周辺を中心とする非対称的共同性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520001
研究機関北海道教育大学

研究代表者

後藤 嘉也  北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50153771)

キーワード非対称性 / 共同性 / 来るべき民主主義 / ハイデガー / レヴィナス / デリダ
研究概要

フランス系哲学者と対話して非対称的な共同性の構造を解明した。とりわけ、レヴィナスとデリダに注目し、ハイデガーにならって他者の非現前という事実を忘れず、自他対称性を警戒する彼らの思考に注目して、ハイデガーを中心とする非対称的な共同性の哲学をさらに肉付けした。
(1)レヴィナスにおける自他非対称性と正義の関係を再考した。
二人からなる場面ではハイデガーを他者を自己に還元する哲学として峻拒するレヴィナスが、第三者の登場(正義)という場面で自他対称性を部分的に放棄せざるをえなかったことは、前年度の研究でも重要な論点になっていた。そこで、まず前年度の研究をこの論点から集約し、そのうえで、レヴィナスにおける逆説的なそのかかわりの構造を再考した。第三者が登場するかぎり、私は二人の他者を比較(比較されえないものの比較)せざるをえず、ここでは私が正義の体現者でもあるかのように振舞う(他者を私に現前させる)ことが要求される。社会秩序は自他対称性の構図に基づいて成り立ち、そこではハイデガーのいう「非現前の現前」(隠れるという仕方で存在すること)は無視されている。しかし、自他非対称性を完全に放棄する共同体は、他者に対する暴力に帰着するであろう。
(2)デリダの思考と対話して非対称的な共同性の構造を解明した。
デリダのいわゆる脱構築はハイデガー、レヴィナスにおける他なるものの非現前・自他非対称性の強調を継承している。しかし、彼ら以上に政治的関心が深く、またハイデガーと異なって市民社会の可能性を希求していた。まず、そうした希求が、彼の法や友愛などについての思考を動機づけている次第を示した。次に、彼が「ハイデガーの意図の彼方」と特徴づけつつもハイデガーに仮託した「何らかの非対称性を要請するような平等性」としての来るべき民主主義を検討することによって、非対称的な共同性の構造を解明した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 死すべきものたちの単数性と複数性2006

    • 著者名/発表者名
      後藤嘉也
    • 雑誌名

      思索 第39号

      ページ: 23-44

  • [図書] ハイデッガー カッセル講演2006

    • 著者名/発表者名
      ハイデッガー, 他(後藤嘉也訳)
    • 総ページ数
      315
    • 出版者
      平凡社

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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