(1)研究の最終年度にあたって、3年間の研究の締めくくりとして、考察をさらに進めるなかで、論稿「「倫理性」概念の再構築」を準備した。(6月刊行の『報告書』で提示する。) (2)「道徳的個別主義」の検討に関して、テーマとして挙げた「暗黙知」概念を検討し、その成果の一部を活かすかたちで論稿「日常生活と知識」(これは、現在、印刷中である)を執筆した。 (3)これは本研究とは相対的に少しく別の関心から執筆したものであるが、論稿「「人間中心主義vs.非一人間中心主義」再論」を公刊した。この論稿の執筆過程で、本研究に密接に関わるかたちで、一環境倫理学の重要概念である「内在的価値」「存在価値」の検討と関連するかたちで一そもそもの「価値論(axiology)」的発想に代る(いわば)「態度一理論(attitude theory)」的発想の重要性を認識し、「愛」をこの後者の発想上の概念として位置づけつつ、それを(私が言う)「善き世界の倫理」の核心を成すものと考えるに到った。これは、上記「「倫理性」概念の再構築」稿にも反映されている。 (4)これも別の課題性に対応するためのものであるが、論稿「補遺・景観(紛争)をめぐって」を執筆し、「価値」への定位の問題性を(再)主張した。本研究課題と関連づけて言うなら、これは、(私の言う)「自己善の倫理」に繋がるかたちで価値論的発想の問題を指摘したものでもある。
|