研究概要 |
平成17年度・18年度の研究成果に基づき,1スピノザの物体的世界及びコナトゥス論の構成に基づき,スピノザ哲学の頂点である「最高善」・「第三種の認識」について検証を行った。すなわち,最高善とは「コナトゥスの自覚化」において見いだされるものであり,第三種の認識は人間存在全体の統合的本質である「コナトゥスの認識」に他ならないのである。 2ブルーノに関しては「原因・原理・一者について」,「カンデライオ」,「無限・宇宙・諸世界について」等の自然哲学・形而上学的著作を中心に「原因」,「物体的世界構成」を解析し,スピノザの物体論・自然哲学との連関の検証を行った。 3スアレスに関しては国内の研究・翻訳が十分ではないことから,『Suarez Opera Omnia』の物体論・運動論の該当個所の翻訳を試みた。また,引き続き,アドリアン・ヘーレボールトの『Meletemata philosophica』の該当個所の翻訳を試みた。 4こうした研究の過程において,スピノザのコナトゥス論形成において,17世紀科学革命の運動が直接・間接に影響を与えているとの着想を得た。それにともない,スピノザ『書簡集』における自然哲学的内容についても分析を開始している。
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