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2005 年度 実績報告書

分析哲学の時間論を手がかりにした時間様相(過去・現在・未来)の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17520022
研究種目

基盤研究(C)

研究機関宮崎大学

研究代表者

伊佐敷 隆弘  宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (50274767)

キーワード時間 / 過去 / 現在 / 出来事 / デイヴィドソン / クワイン / ジェイムズ
研究概要

本研究は,マクタガート以来の分析哲学における時間論を手がかりにしつつも,そこでの暗黙の前提である「時間の線イメージ」に依拠することなく,時間様相を解明しようとするものである。今年度は「出来事個体」に関する検討の成果を踏まえ「過去」と「現在」について考察した。
論文「過去の確定性」において,過去が変わらない(或いは変えられない)ということの源泉を,出来事個体という存在者の消滅不可能性に求めた。想起内容に出来事個体への指示が含まれるのに対し,予期内容には出来事一般への指示しか含まれない。出来事個体は過去に関してしか存在せず,一旦成立した出来事個体は変化することも消滅することもない。次に,この議論を踏まえ,論文「現在は瞬間か」において,「現在に幅があるか否か」という問題について考察した。即ち,「現在が過去に移行するとき時間が経過する」ことは自明だが,その逆の「時間が経過するとき現在が過去に移行する」ことは自明ではなく,それゆえ,「現在が瞬間である」ことも自明ではない。「我々の経験の場としての現在」において新しい変化が次々に生じては消えて行くが,この現在には幅があるともないとも言えない。しかし,消えていく変化を一つの出来事個体として指示することによって「変わらないものとしての過去」がそこに出現し,それに応じて「過去でないものとしての現在」が現れる。この現在はその都度異なる幅を持つ。
「出来事個体」という概念については,論文,「出来事の同一性に関するデイヴィドソン説とクワイン説」および発表「出来事の同一性について」(科学基礎論学会2005年度大会),発表「出来事とはいかなる存在者か」(日本哲学会第64回大会)において主題的に検討を加えた。また,発表「出来事と時間」(西日本哲学会第56回大会)において,出来事論と時間論の関連についてさらに検討を加え,「経験の場としての現在」について考察を深めた。なお,論文「「見かけの現在」について」ではウィリアム・ジェイムズの心理学における「幅のある現在」について調べた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 現在は瞬間か2005

    • 著者名/発表者名
      伊佐敷 隆弘
    • 雑誌名

      科学哲学(日本科学哲学会編) 第38巻第1号

      ページ: 31-45

  • [雑誌論文] 「見かけの現在」について2005

    • 著者名/発表者名
      伊佐敷 隆弘
    • 雑誌名

      科学基礎論研究(科学基礎論学会編) 第104号

      ページ: 9-16

  • [雑誌論文] 出来事の同一性に関するデイヴィドソン説とクワイン説:因果基準と時空基準2005

    • 著者名/発表者名
      伊佐敷 隆弘
    • 雑誌名

      紀要人文科学(宮崎大学教育文化学部) 第13号

      ページ: 1-24

  • [雑誌論文] 過去の確定性2005

    • 著者名/発表者名
      伊佐敷 隆弘
    • 雑誌名

      哲学(日本哲学会編) 第56号

      ページ: 130-141

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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