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2007 年度 実績報告書

宋学形成前夜における仏教の動向に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520034
研究機関新潟大学

研究代表者

中西 久味  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (00143743)

キーワード契嵩の護法思想 / 『鐔津文集』 / 『夾註輔教編』 / 『北山録』 / 『中説』 / 皇極 / 胡游
研究概要

本研究は唐末から北宋の慶暦年間ころまでの仏教の動向を、儒教との交渉から考察しようとするものである。本年度は最終年度であるため、北宋時代にあって仏教側から儒仏一致を説いたとされている天台宗山外派の智円『閑居編』、および禅宗雲門宗の契嵩『鐔津文集』『夾註輔教編』について考察した。ただし、前者においては、儒仏二教は中庸と中道で一致すると説くに止まり、それ以上の展開は当面のところ見あたらない。そこで、主として後者について、その護法思想の内容を究明することに努めた。契嵩の議論もまた首尾一貫しているわけではないが、おおよそ、仏教は「性命」の深奥を示して死生を超越し、かつ「治政」にも寄与するという二点によって仏教擁護をはかっていること、その内容は「心」「道」「教」を軸として構成されていることなどを点検した。さらに、その背景となっている思想について探究してみると、必ずしも明瞭ではないものの、仏教のほうでは、一心法界などを説き唯心法門であると目されている澄観・宗密系統の華厳教学を参照していることが推測される。あわせて、中唐の神清『北山録』の三教論の影響が極めて強いことについても確認した。一方、儒教については、王通『中説』を重視していることは確実であり、とりわけ「中庸」「皇極」などの「中」を強調する阮逸註に依拠していると考えられる。阮逸のほか、契嵩周辺の郎簡や陳舜兪という人脈をたぐってゆくと、当時三呉一帯に広まっていた胡〓の学派にも関わってくる。契嵩の議論には、この地域の儒教が反映されている可能性が考えられるのである。以上のような考察にもとづいて、論文「契嵩の護法思想」を発表する予定である。

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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