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2005 年度 実績報告書

懐徳堂学派の朱子学の研究-中井履軒の四書注釈を中心として-

研究課題

研究課題/領域番号 17520041
研究種目

基盤研究(C)

研究機関阿南工業高等専門学校

研究代表者

藤居 岳人  阿南工業高等専門学校, 一般教科, 助教授 (80228949)

キーワード懐徳堂 / 中井履軒 / 朱子学
研究概要

本年度は、中井履軒の『論語逢原』の検討を通して、彼の人間観の分析を行なった。まず『論語逢原』の聖人観の検討から派生した履軒の「権」の思想を分析した。具体的には、朱子の『論語集註』と『論語逢原』とを比較検討し、礼という原則を意識しつつ、実際には複雑なる現実に変幻自在・融通無礙に対応してゆこうとするのが履軒の「権」の思想であることを明らかにした。それはすなわち、履軒が正統的な儒者たらんとする意思を保持していたことを示しており、履軒の聖人観にもその意思は反映している。
次に『論語逢原』に見える「習」「蔽」の語を中心に、履軒の性善説と善の発揮を阻害する要因とについて、検討した。その結果、以下の点が履軒の人間観の特徴であることが明らかになった。すなわち、聖人であろうと凡人であろうと、人間が基本的に善である点は共通するが、気稟の昏明強弱や「習」「蔽」に晦まされることによって、人間には様々の差が生じる。善については、聖人と凡人との差は善が無自覚的か自覚的かという点に基づく。そして、善を自覚的なものにするために、聖人の道を学ぶことが必要である。つまり、善の自覚が聖人たる要件である。以上の点が履軒の人間観の特徴であることを明らかにした。
以上のごとく、『論語逢原』の検討の論点整理を行なったうえで、研究の前提となる基礎資料の整備に着手した。具体的には、中井履軒の四書注釈の中心的著述である『孟子逢原』『中庸逢原』を検討し、そこに見える「聖人」の語を抜き出してデータベース化し、資料をその性格ごとに分類した。さらに四書に対する注釈以外の中井履軒の著述を調査するため、懐徳堂関係の一次資料が所蔵される大阪大学附属図書館懐徳堂文庫、大阪府立図書館等において実見調査を行なった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 中井履軒の性善説-『論語逢原』に見える「習」「蔽」の語を中心に-2006

    • 著者名/発表者名
      藤居岳人
    • 雑誌名

      懐徳 74号

      ページ: 20-41

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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