研究課題/領域番号 |
17520049
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
宮井 里佳 埼玉工業大学, 人間社会学部, 准教授 (80290998)
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研究分担者 |
落合 俊典 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10123431)
本井 牧子 大谷大学, 文学部, 非常勤講師 (00410978)
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キーワード | 金蔵論 / 衆経要集 / 法苑珠林 / 義楚六帖 / 敦煌写本 / 仏教類書 / 今昔物語集 / 中国北朝仏教 |
研究概要 |
中国北朝後半期の道紀撰『金蔵論』について、我々は昨年度までに敦煌写本中の数点を見い出し、興福寺蔵日本霊異記紙背書写の巻六、および大谷大学蔵(法隆寺旧蔵)長承三(1134)年奥書写本「衆経要集金蔵論」巻一・巻二合本の調査研究を行ない、原拠や仏教類書ならびに『今昔物語集』などと比較検討しつつ、翻刻・校訂本文ならびに訳注を作成することによって、これまで知られていなかった『金蔵論』の解明に努めてきた(一部発表済)。大谷大学蔵本については、新たにカラー写真撮影を依頼し、朱や墨で付された訓点の解読を進めており、訓点の系統などを確認しつつある。これらの成果は、近日公刊する予定である。 『金蔵論』の解読を進める中で、『金蔵論』は仏教類書と類似した形式でありながら、その系譜の中に位置づけることは難しく、むしろ、因縁譚としての性格を特色とすることが注意されるようになり、話の構造の分析が進んだ(宮井論考、本井論考)。また、従来『金蔵論』は『今昔物語集』の出典であると言われてきたが、我々の研究によって『金蔵論』の本文が明らかになることによって、さらに日本説話文学における『金蔵論』の影響力がはっきりしてきた(本井「『金蔵論』と『今昔物語集』」投稿中)。
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